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先進国の中でも、この国ほど芸術文化に対する国策のない国はないだろう。

アメリカはかつて、世界恐慌時のニューディール政策で

アーティストへの仕事もつくり、支援し、芸術文化の枯渇を防いだ。

この国では、芸術文化は二の次三の次である。

十年以上前、内戦の収まらぬ時期のグルジア共和国を旅した。

日本でいえば、銀座の真ん中にあるホテルさえ外壁は弾痕が痛ましく残り

日に幾度も断水するさなか、世界からアーティストを招聘して

彫刻シンポジウムを開くのである。インフラさえままならぬ状況でである。

何故か、と訊ねると、異口同音に

「生活の復旧と文化の復旧は同時進行しなくては本当の復旧とはいえない。」 と。

芸術文化が生活の一部、というより、

生活の重要な部分として捉えているのである。

小学校では、民族の伝統的な舞踊歌謡などから教える。

民族の誇りを大切にするところから教育が始まる。

吉本隆明的にいうと、アジア的なのかも知れない。

民族の違いで、すぐに刃傷沙汰になるが、心はピュアなのだ。

男は男らしく優しいし、女は恥じらいを持ち美しい。

男女それぞれ、逞しく活き活きとしている。

参院選の広報を見聞きしていて、グルジアの体験を懐かしく思い出した。

そんなグルジアでのシンポジウムに参加した作家のひとりである

彫刻家 松田文平さんの彫刻展を9月に計画している。

優しく、逞しい文平さんの彫刻が楽しみです。

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今日の一節 堀内正和著『坐忘録』より

 今日の我々はあまりにも作品にとらわれすぎている。

芸術は意識のなかに成立するものなので、

作品はその結果にすぎない。

芸術家がいかに思い、いかに喜び、いかに作っていくか、

その行程のなかに芸術は存在するのだ。

(中略)

作品はその進展の過程の各段階における中間報告にすぎないのである。

作品そのものが即ち芸術そのものであるという考え方は

あまりにも物質的な考え方である。

 鑑賞者は作品を見ることにより、作者が体験した創造の過程を追体験することによって、自己のうちに芸術を成立させるのである。

作品が存在してもこれにふれて感動する新鮮な鑑賞者の魂が存在しなければ、

そこに芸術という意識活動は生じてこないのである。

       (堀内正和著「坐忘録」 1990年 美術出版社刊)

本日の一節

 彫刻は石が語り、木が語る。石には、石の文法があり、

木には、木の文法がある。

肉体の文法によって石に語らせようとするのは、悪しき翻訳である。

良き翻訳家は二つの言語に精通していなくてはならない。

とくに移しなおす言語の文法は自分の呼吸と同じぐらい、

無意識に語れるほど、のみ込んでいなくてはならない。

石の文法を体得するには、三度の食事のように、

石になれ親しんでいなければならない。

               (堀内正和著「坐忘録」より  美術出版社 1990年刊)


弊社ギャラリーで、26日まで開催している「山﨑隆彫刻展」を

眺めていて、この一節が山﨑氏の石と対峙する姿勢に通じます。

是非、ご高覧あれ。

ここのところ、「彫刻」「抽象」をキーワードに、かつて読んだ本を読み返している。

これが、なかなか面白い。心に響いた一節を随時紹介していきます。

『坐忘録』(堀内正和著、1990、美術出版社刊)もそのうちの1冊。

著者は堀内正和。2001年に90歳で亡くなった日本の現代彫刻のパイオニア。

弊社銀座時代には個展もしていただき、多くのことを学ばせていただいた。

『坐忘録』 は、自身彫刻家である著者の視点で主に現代彫刻家を綴っていて、

とても学ぶところの多い本。彫刻家の自身のためのノートとでもいえる本です。



今日の一節 :

『 芸術は人間になる果実だ 』

坐忘録 26頁 フランスの彫刻家、画家でありまた詩人でもある ジャン・アルプの

言った言葉として紹介している。(ジャン・アルプ 1886-1966)

なかなか、詩人らしい、心に響く一節です。

そんなアルプの世界を堀内は、

「人間は木や石や水や雲と同じ価値の無名の自然の一員であり、その一員になる

果実である作品もまた木になる果実と同じように自然の一員になってしまう。これ

がアルプの世界だ。無差別平等界といってよかろう。」 といい、そして、

「その作品が「何を表現しているのですか」と訊かれても、アルプとしては、

「ではあの木あの雲は何を表現しているのですか」と問いかえすより答えのしようが

ないのである。」 と著者は括る。


『坐忘録』は、美術史家や美術評論家のテキストとはまた違う視角の文章で、

分かり易く、また、美しい文章です。美術関連の文章ですが、人間としての生き方、

をも示唆するお奨めの一冊です。  是非、一読あれ!!










yamazaki-L-a.jpg

  山﨑隆 彫刻展

  6月5日(土)~26日(土) 

  アートプラネット
   13:00~19:00 OPEN   火曜定休

弊社サロンギャラリー アートプラネットで石の彫刻展が始まる。

この作品、重さ2トン超!!

石彫刻全般からしてみれば、それほどではないが、

うちのサロンは住宅街の一隅の普通の家屋。

実は、搬入の時、扉の枠が壊れた!

堂々たる石彫が鎮座しましたぞ。

悠然とした石の塊り、意味はよくわからないけど

その存在感から、見る側も悠々たる気分になってくるから不思議。

是非、ご覧あれ!!


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